みなさんは、子供がしているポジションについてどれくらい知っていますか?
「今はディフェンスをしている。でも本当はフォワードをして欲しい」
「キーパーで出ることが多いから、観ているとドキドキする」
「あまり上手くないし、試合に出れるなら正直どこでもいい」
サッカーでどのポジションで試合に出るかは、子供やその親にとっても重要な問題です。
なぜかというと、ポジションごとに好みがあり、各々が抱くイメージがあるからです。
それは子供にとっての得意なポジションだったり、苦手なポジションだったり、、、
親が憧れる選手のポジションであったり、こんな風に育って欲しいと思うポジションでもあります。
フォーメーションとポジション
サッカーにはフォーメーションとポジションがあります。
似ているのでちょっとややこしいですが、それぞれに意味が異なります。
フォーメーション ⇒ チームの陣形
ポジション ⇒ 陣形の中の位置
子供がどのポジションをしているかは知っていても、どのフォーメーションかは知らない人が多いように思います。
フォーメーションによって、各ポジションの役割が変わってくるため、知っておいて損はないかもしれません。
ジュニアサッカーもアイドルも、上手い子をセンターに置く
上手い子をセンターに配置するフォーメーションは、サッカーでも王道とされており多くのチームで採用されています。
コートの中央はボールが集まりやすく、このエリアで競り勝つことが重要であるからです。
アイドルグループにおいても、一番視線の集まるセンターに人気のある子が来るのと同じです。
また、ピンチになった時もボールにアタックしやすい位置にいるので、安心して試合を進めることができます。
そのため、ゴールキーパー、センターバック、センターハーフ、センターフォワードの選手はチームの要であると言えます。
ただし、あくまでも王道であり、強いチームが必ずしもこの方法を取っているとは限りません。
「まずは守備から」が合言葉
サッカーのフォーメーションは、キーパー以外のディフェンス側から前に向かって、並ぶ人数を数字で表します。
11人制の4-4-2であれば、ディフェンスが4人、ミッドフィルダーが4人、フォワードが2人です。
8人制の3-2-2であれば、ディフェンスが3人、ミッドフィルダーが2人、フォワードが2人となります。
キーパーは必ず1人なのでカウントしません。
ポイントはディフェンスから数えるという点です。
監督やコーチはメンバーを選ぶ時、必ずキーパーとディフェンスから考えます。
これはプロリーグでもジュニアサッカーでも同じです。
『まずは守備から』という言葉が使われるように、ディフェンスの形が見えることで初めてチームの戦い方が決まります。
逆にディフェンスが決まらないと、選手間の連携が取りづらくなります。
「試合でなかなか勝てないけど、なんでだろう?」と思ったら、失点が多くないか見てみましょう。
ついつい得点を取るほうに目が行きがちですが、勝てないチームは守備に問題がある場合がほとんどです。
3バックのフォーメーション例
ジュニアサッカーでは、3バックと呼ばれる守備を3人で行うフォーメーションが良く使われます。
守備が3人いることで安定感があり、左右どちらから攻められても対応できるフォーメーションです。
例えば、8人のうち4人が上手い子(赤)だとすると、中央に配置することで攻守のバランスが取りやすくなります。
■3-2-2のフォーメーション
■3-1-3のフォーメーション
ただし、守備のことばかりを考えると、攻撃面がおろそかになります。
攻撃は相手選手の少ない両サイドを使うことが多いので、上手い子を中央に寄せすぎると攻撃が単調になります。
また、「点を取りたいからフォワードをしたい」という子もいれば、「点を決められたくないからディフェンスをしたい」という子もいます。
そのあたりの特徴や選手の気質を見極めながら、ポジションを変更していく必要があります。
フォーメーションが変わると役割が変わる
3バックと併用されるのが2バックです。
2バックの良いところは、守備を2人で行うので、余った1人を攻撃に加えることができます。
■2-3-2のフォーメーション(上手い子をサイドにも配置)
運動量のある選手がサイドから攻撃に出ることで、相手陣地に切り込む可能性が高くなります。
前線に動きの悪い選手がいても、後ろから覆うように全体をカバーできるフォーメーションです。
このフォーメーションでは、最初に触れた“ 上手い子をセンターに ”の法則に当てはまっていません。
攻撃の起点は、両サイドのミッドフィルダーが握っています。
運動量があって広いスペースを使えるドリブラーや、クロスボールを供給できるキックの上手な選手が活きるポジションと言えます。
まずは守備をしっかり行いつつも、プレッシャーの少ない外側から攻撃をするという王道とは異なる方法を取っています。
このように、フォーメーションは攻撃と守備のバランスを決める重要な要素であるため、変更することはあまりありません。
一方のポジションは、選手の体調や好不調、相手の中心選手がどこにいるかによって変わってきます。
それは試合前だけでなく、試合が始まってからも続きます。
このように、監督やコーチはフォーメーションが機能しているかを確かめつつ、状況にあわせてポジションを変更しているということです。
親と子供のポジション像は違うかもしれない
親世代がイメージする” 花形選手 “は、おおむね得点を取る選手です。
幼少期に見たニュースや紙面はゴールシーンであり、華麗に得点する選手は私たちのヒーローであったからです。
したがって、勝敗を決める得点に絡む選手は” エース “と呼ばれてきました。
当時は攻撃と守備の分業制が敷かれており、背番号もある程度固定されていました。
10番はチームの中心選手、9番はセンターフォワードの点取り屋、11番は左サイドのテクニシャンという感じです。
三浦知良選手やジーコ選手など、Jリーグ創成期を支えた選手がこれらの背番号であったこともあり、それらは憧れの背番号になっていきました。
キャプテン翼などのサッカーアニメの存在も、その一端を担っているように思います。
現在ジュニアサッカーの主流は8人制サッカーです。
8人制サッカーは、全員で守り全員で攻めるハードワークが求められます。
背番号もある程度の規律はあるものの、比較的自由に付けることができます。
また、10番以外の背番号をキャプテンが付けることも多くなっています。
そして子供たちが憧れる選手は、フォワードだけでなくディフェンダーやゴールキーパーに広がっています。
近年では、サイドバックやボランチと呼ばれる守備的なポジションが花形と呼ばれつつあります。
そのため、親世代と子供世代ではポジションや背番号のイメージが異なることを理解しておく必要があります。
必ずしも得点を取る選手や10番の選手だけが、憧れの対象になっていないということです。
どのポジションがやりたいのかを聞いてみよう
ジュニアサッカーでは、育成の観点から色々なポジションを経験させるチームがほとんどです。
一日の試合の中で、ディフェンスをしてフォワードをして、最後にキーパーをすることはザラにあります。
西野朗元代表監督が言う“ ポリバレントな選手 ”(複数ポジションをこなせる選手)になるためには必要なことです。
しかしながら、本当の中心選手になっていくには、自分の強みが出せるポジションを知っていることが重要となります。
そのためには「どのポジションがやりたい?」と聞かれたときに、迷わず答えられなければなりません。
「えーっと、左のバックが多いけど、フォワードでもいいかな」
「本当はトップ下がしたいけど、、、右のサイドハーフかな」
迷っていたり、ポジションが複数出てきたときは、「その中で自分の強みが出せるのはどこ?」と聞いてみましょう。
インターネットや動画サイトの発展で、サッカーに関する情報が簡単に手に入れられるようになりました。
フォーメーションや戦術など、子供たちは驚くほど知識を持っています。
その知識を使い、自分の強みが何なのか、強みを一番活かせるポジションがどこなのかを見つけていくことが大切であるように思います。