みなさんにとって、ジュニアサッカーの観戦でどんな時が一番楽しいですか。
強いチームに勝った時、大会で優勝した時、自分の子供が活躍した時。
サッカーが上手い下手に関わらず、子供たちが何かを成し遂げた瞬間は観戦している私たちも嬉しくなります。
「最初は乗り気でなかった観戦が、今では欠かすことのできない楽しみになっている」
「試合結果の更新が待ち遠しくて何度もアクセスしてしまう」
「試合のない週末があると、ちょっともの足りなさを感じてしまう」
子供がサッカーをしている家庭なら、いつの間にかこんな風になっている方も多いのではないかと思います。
サッカーの試合をしている子供たちは、とても大きく輝いて見える。
この言葉に「そうそう」と思ったあなたは、本やテレビではなかなか語られない観戦の魅力に気付いている人たちです。
アイドルに熱をあげる知人を他人事のように見ていたあなたは、いつの間にか同じような目で見られているかもしれません。
観戦に来る保護者の目的は、似ているようで異なる
ジュニアサッカーの観戦に来ている人は、選手の保護者である場合がほとんどです。
そのため、自分の子供の所属するチームを応援するというのが前提になります。
この場合、応援するチームが勝つことが観戦者の目的になります。
しかしながら、応援が前提であっても実際には楽しんでいるポイントが人によって異なります。
例えば、同じ家族であってもお父さんとお母さんで違ったり、一緒に応援している仲間でもそれぞれ見ているところが違う訳です。
会場に着くと別々に行動している夫婦やポツンと見ている人が多いのは、そういった背景があるからかもしれません。
競技スポーツとして楽しむ
ジュニアサッカーを競技スポーツとして考えるのであれば、「勝つこと、もしくは勝利につながるゴールを決めること」が一番の醍醐味であるように思います。
なぜなら、勝った時の喜びは何物にも代えがたく、その躍動する姿は仲間やコーチはもちろん、観客や審判をも熱狂させてくれるからです。
多くの人に語り継がれる試合には、必ずと言っていいほど勝者と敗者がいます。
もちろん引き分けとなった名勝負もありますが、『美しさ』や『美学』のようなものは勝敗の中に存在していそうです。
中には負けたけどいい試合だったねと、結果よりもその過程を称えることがありますが、遊び本来の面白さや競技スポーツの目的が薄れてしまうように思います。
なるべく競争ぜずに生きていきたいと思っている人であっても、人生において競争や勝負をする時は必ず訪れます。
自分が望んだ結果出なかったとしても、なぜそういう結果になったかを振り返る時間は、サッカーが教えてくれる大切な刹那です。
勝利至上主義というとやや時代遅れな感もありますが、静かに観ているお父さんほど心の中は勝利に向かっているかもしれません。
セルフ解説を楽しむ
子供の試合を観ながら隣のお母さんに解説しているお父さん。
こんな光景を試合会場でよく見かけませんか?
セルフ解説は、「このスペースを使って攻めたらいいのに」「ここであの子と交代したら勝てる」と戦術解説や指揮をとって楽しむというものです。
スポーツが好きなお父さんは、このタイプが多いかもしれません。
観戦を続けていくとチームや選手の特徴が頭に入ってくるので、「おそらくこうなるんじゃないか」という予測がついてきます。
予測が当たると「ほら、やっぱりそうだ」となるので、それが楽しみになるという訳です。
観戦好きな保護者の中で意見が合うこともあり、そうなるとセルフ解説がより楽しくなって行きます。
ただし、度が過ぎると「面倒くさい人だな、もっと静かにみたいのに」と思われる可能性があります。
話す人や場所、近くに相手チームの保護者がいないかを確認しつつ、ほどほどの会話にしておいたほうが賢明です。
保護者とのコミュニケーションを楽しむ
観戦に来るお母さんは、これが一番になっている人も多いと思います。
公式戦が始まると毎週顔を合わせることになるので、ますます同じ小学校の保護者よりも関係性が深くなります。
サッカーだけでなく勉強や子育ての話は、同じ学校でないお母さんの方が話しやすいというのがあるのかもしれません。
何よりサッカーという共通項を持ちながら一緒に戦うことで、仲間意識が強くなっていきます。
中には試合の間話が夢中になり、「あれっ、もう終わった?」と話してる保護者もいます。
それだけ楽しい時間であるということです。
度が過ぎると良くありませんが、晴れた空の下でおしゃべりをしたりみんなでお弁当を食べると気分転換になります。
経済的で健康的でお母さんのストレス発散にはもってこいの場所になっています。
子供とのコミュニケーションを楽しむ
子供の友達ってどんな子だろう?
保護者としては気になるところです。
観戦に行くようになると、子供たちも保護者の顔を覚えてくれるようになります。
子供たちとのコミュニケーションから得る情報はどれも新鮮です。
流行っているものであったり、言葉遣いだったり、学校の出来事だったり…
「えーっ!?」と思うこともありますが、自分の子供も知らないところではこんな感じなのかなと想像できます。
また、兄弟が観戦に来ている場合は、その子たちと仲良くなっていくのも楽しみです。
「お父さんに顔がそっくり」とか「しゃべり方一緒やん」とか「兄弟で全然性格が違うね」と突っ込まれることもあります。
チームにまつわる出来事を楽しむ
同じチームの家族とはサッカー以外でも関わることが増えてきます。
時には家族ぐるみで旅行やキャンプ、Jリーグの試合を観に行くこともあると思います。
保護者同士の付き合いは、少々煩わしいこともありますがメリットもたくさんあります。
兄弟が多いお父さんやお母さんからは、他の学年にまつわる情報を聞くことができます。
新しいコーチの話や練習時間など、これから関わるであろう業務連絡に近い情報であれば早めに知っておくと便利です。
子供を安心してサッカーを習わせるには、ある程度こういった情報を入手できるようにしておくことも必要です。
例えば中学生がいる家庭からは、これからの進路を決めるにあたって有益な情報を聞けるかもしれません。
ネットや雑誌などの整理された情報も良いですが、実際に通っている子供がいる親の方が参考になりそうです。
ただし、プライベートな話や噂話であることも多いため、節度を持ちながら会話していく必要があります。
他チームの試合を楽しむ
大きな大会になると、自分のチーム以外の試合を観戦できることも楽しみのひとつです。
地域で強豪と言われるチームやJ下部チームの試合を間近で見ることができます。
同年代でありながら、一回り以上違う体格やサッカー技術の差に驚くことが多々あります。
チームによって指導方法やコーチのキャラクターも違うので、今後の方向性を決めていくには知っておいて損はありません。
できれば、人から聞いた話やネットの情報に頼らず、自らの目で見て判断することが重要だと思います。
ジュニアサッカーでありがちなのが、対戦相手を戦う前から親が評価しているケースです。
「○○チームは強い」「△△なら勝てそう」と、チーム名や曖昧なイメージで判断しています。
今まで聞いたことのないチームでも学年が違うと強かったり、低学年の時に弱くてもいつの間にか強豪チームになっている場合もありす。
また、公式戦が始まると上手な選手は移籍することもあるので、実際に対戦してみないと本当の実力は分かりません。
人が成長する瞬間は、観ている人も熱くする
『奇跡のレッスン ~世界の最強コーチと子供たち~』という番組があります。
世界の一流コーチが、1週間だけ子供たちを特別にレッスンするというものです。
講義内容は、サッカー、野球、バスケットボールなどのスポーツのほか、書道や吹奏楽など芸術分野にも及びます。
1週間という限られた時間の中で、最強コーチに導かれた子供たちは想像を超える成長を遂げていきます。
出演する子供たちは、決して上手な子ばかりではなく、どこにでもいる普通の子供ばかりです。
時に親や指導者を悩ませるその『普通な子供たち』は、最強コーチによって水を得た魚のように課題をクリアしていきます。
ジュニアサッカーの観戦を重ねていくと「今日は観に来なかったほうがよかったかも」と思う日が出てきます。
それは勝敗だけでなく、試合内容が悪かったり、やる気がなかったりと様々な理由から起こります。
ところがその一方で、子供たちそれぞれの良いところがかみ合って、大きなうねりになる瞬間があります。
そのうねりは子供たちの姿やプレーを研ぎ澄まし、コーチや観客を飲み込んでいきます。
子供たちの小さな成長は、次に来るうねりを待ち遠しくさせ、私たちに「また次も応援しよう」と思わせる原動力になっているように思います。