考計組用(こう・けい・そ・よう)

あなたにとってちょうどいい、心地よいイスとは、どのようなイスですか。

「オイル塗装の木製ひじ掛けイスで、座面は床から43cm」

「クッションは硬めで丈夫なツイード素材、色は落ち着いたグレーが好み」

 

迷わず答えられる人は、自分の中に心地よさのものさしを持っている人です。

しかしながら、ほとんどの人は好みがわからなかったり、漠然としたイメージしか言えないように思います。

 

考計組用(こう・けい・そ・よう)とは


私たちは『考える』『計る』『組む』『用いる』を順番に行うことを、自分にとってちょうどいい、身の丈サイズを見つける手順としています。

低学年で習う基本の漢字であり、4つすべてが私たちの暮らしに欠かせない言葉です。

それぞれの頭文字を取り、考計組用(こう・けい・そ・よう)と呼んでいます。

 

考(かんがえる)


まずは頭の中で考える、想像するところから始めます。

あれやこれやとおもいはかり、アイデアと工夫をめぐらし、そして様々なものごとと比較をしてみます。

 

今まで座ったイスの中で記憶に残っているものは何だろう。

あの雑誌に載っていたイスはどこで扱っているのだろう。

 

自分の中にある「なんとなくいい」という感情をできる限り具体的にするために、雑誌の切り抜きを集めたり、インターネットでイスの画像を探したり、簡単なイラストを描いてみてください。

形のあるものにすることで「なんとなくいい」の骨格がうっすらと見えてきます。

 

計(はかる)


計という字は数や時間を数えること以外に、大きさを計測したり、タイミングや計画を考えたり、誰かに相談するという意味を持っています。

使えるお金を計算する、自分が心地よいと思う背もたれの角度やひじ掛けの位置を計測してみる、品揃えが増える時期や安く買えるタイミングがあるかを調べてみる、一緒に生活する人にそれとなく相談してみるということです。

 

具体的なサイズや金額、スケジュールに置き換えてみることで、比較や相談がしやすくなります。

そうすることで新しく購入するのでなく、今あるものをカスタマイズしてみる、自分で作ってみるという方法も検討できます。

 

組(くむ)


悩んで購入したものの、今あるものと合わなかったという後悔は、往々にして後から出てきます。

古いものと新しいものを組み合わせる必要があるため、経年変化した風合いの程度を頭の中だけでイメージするのは困難です。

 

段ボールで同じ大きさの模型を作ったり、素材のサンプルを取り寄せることで色の加減を見たり、できる限り実際に近い状況を作ります。

洋服のコーディネイトのように、お気に入りのアイテムを組み合わせる楽しみと同じです。

そうして、朝の日光や夜の灯りと組み合わせてみる、寝転がったり立ったりして1週間くらい眺めて見ると良いと思います。

 

毎日使うものは、動きに無駄やストレスがないか生活動線を意識する必要があります。

家族みんなが使う引き出しと、お気に入りのイスの背もたれはなるべく離したほうがいい。

快適な仕組みは心地よさを生む源泉であり、生活にゆとりを与えてくれるものと考えています。

 

 

用(もちいる)


時間と労力をかけて選び抜いたものであっても、使わなければ必要のないものになります。

実際に使い続け、不具合があれば少しずつ手を入れることにより、より働きのあるものになってきます。

民芸運動における「用の美」のように、使い手にとっての機能美を見つけていく作業です。

 

なぜかだんだんと使わなくなる、どこにあるのか分からなくなるものは、あなたの身の丈サイズに合っていないのかも知れません。

大きさや色、置く場所を見直して、どこがしっくり来ていないのかを確かめます。

そして最初の考(かんがえる)に戻り、考計組用(こう・けい・そ・よう)のサイクルをもう一度繰り返していきます。

 

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