「試合になると、アイツはいつもおいしいところ持って行くんだよね…」
「キーパーが弾いたボール、なぜかあの子のところに転がってくるよね…」
ジュニアサッカーの試合を観ていると、そんな選手に出会う時があります。
みなさんは、『ごっつあんゴール』と聞いて何を思い浮かべますか?
ゴール前にたまたま転がってきたボールを、ちょこんと蹴って入るゴール。
どちらかというと、偶然や運によってたまたま決まったんでしょとされるゴールです。
ごっつあんゴールを決めたその選手は、本当に運が良いだけなのでしょうか。
今回は、ゴールの価値について考えてみました。
得点の7割はペナルティエリア内から生まれる
目の覚めるようなロングシュートで決めた1点。
ゴール前に転がってきたボールを、ちょこんと蹴って決めた1点。
どちらも同じ1点ですが、後者の方はあまり評価されることがありません。
Jリーグで一番得点を挙げている選手はどんな選手なのでしょうか。
2019年時点のランキングを調べてみました。
1 大久保 嘉人 選手
2 佐藤 寿人 選手
3 中山 雅史 選手
どの選手も特別背が高かったり、身体能力が飛びぬけているわけではありませんが、数多くのゴールを重ねています。
実際、Jリーグで得点となるシュートの約7割は、ペナルティーエリア内から打たれています。
ゴールに近ければ近いほど得点になる確率が上がるため、ワンタッチゴールやごっつあんゴールの割合が結果的に高くなるということです。
ごっつあんゴールを決める条件
1.試合に出ている
あたり前ですが、ゴールを決めるには試合に出ていないといけません。
試合に出るためには、監督に認めてもらいレギュラー争いに勝つことが必要です。
先ほどの3選手は移籍した後のチームでも概ねレギュラーを獲得しています。
またケガをしないこと、シーズンを通してコンディションを保つことも重要です。
怪我をして試合に出れないと出場試合数が減るのはもちろん、現役期間を短くしてしまうことになるからです。
2.ポジショニングが良い
こぼれ球を運と思っている間は、ごっつあんゴールを決めることはできません。
佐藤寿人選手は、試合を分析して、ゴール前のどのエリアにいると得点する確率が高いのかを研究しているそうです。
例えば、このエリアからのクロスならニアよりもフォアに走りこむほうがと良いとか、キーパーがパンチングしたボールはこのゾーンに転がりやすいとか。
プレーを決める優先順位を、感覚値ではなくデータとして持っています。
たった数パーセントの違いかもしれませんが、何度も繰り返すことで結果的に確率が高くなっていきます。
3.常にゴールを意識している
相手選手で嫌だなと思うのは、ボールを持った時に常にゴールを狙ってくる選手です。
キーパーをすると分かるのですが、ボールを持った瞬間にゴールを見てくるので遠くにいてもプレッシャーを感じます。
また、キーパーのポジションが少しでも悪いとすかさずシュートを打ってくるので前に出にくくなります。
逆にいくらテクニックがあっても、ゴールを見ずにパスしか考えていない選手は全然怖くありません。
ゴール前で1対1になったとしても、選択肢にシュートがないので守備側は対策しやすくなります。
ここぞ、という時に決める選手になろう
宇佐美貴史選手は、小学校4年生から卒業するまでに600点以上の得点を決めたそうです。
1年間で200ゴールを決めたことになります。
サッカーの得点シーンは、スポーツニュースやYou Tubeで見かける目の覚めるようなゴールばかりではありません。
中にはどこにあたったか分からないようなゴールや、お世辞にもかっこいいとは言えないゴールもあります。
しかしながら観客にいる私たちは、プロ選手のような美しいゴールを期待してしまいがちです。
ドタバタとしたドリブルから、力のないシュートを放ち、相手キーパーのミスで入ったゴールを心から喜べなかったりします。
「同点で迎えた後半終了間際、コーナーキックからの混戦で倒れながら放ったシュートが相手に当たってゴール!」
サッカー観戦をしていると、こんなシーンは数多く生まれています。
テレビで観るようなかっこいいゴールとは言えませんが、選手にとっては忘れられないゴールになっていたりします。
エースストライカーと呼ばれる選手になると、試合の流れを決めるような場面でシュートを打つシーンが増えます。
その小さな背中にはチームの仲間やコーチ、観客の想いが乗っていて、その足から放たれるシュートをみんなが見守ります。
プレッシャーや緊張を通り越して、ただゴールだけを狙っていく姿は、獲物を狙うトラのようでもあります。
この” トラになる感覚 “を磨くことが、得点を決められるかどうかに関係しているように思います。
味方がPKをもらったら、迷わずボールに駆け寄って蹴りたいとアピールする。
何度シュートを外しても、諦めずにゴールを狙い続ける。
泥臭いゴールを数多く経験し、仲間と喜びあうことができる。
『とにかく点を取ることが好き』
そういった選手がチームを救うゴールを決めるストライカーに育って行くように思います。