緊迫したサッカーの試合で、自分の子供が途中出場することになったら。
観戦している皆さんはどんな気持ちになりますか?
「よーし、絶対に活躍してこい」
「ここで得点したらヒーローになれるやん!」
と、期待を持って送り出せる人。
「とりあえず、大きなミスだけはしないで欲しい」
「お願い、ボールよ飛んでこないで!」
と、不安を感じながら、ただただ無事に終わることを祈る人。
熱心にサッカー観戦に行く保護者ほど、どちらかに分かれそうです。
特に、レギュラーとして試合に出れない子供の保護者である場合、途中出場する瞬間は胸が張り裂けそうになります。
子供の調子が良く、活躍してくれれば一安心ですが、そうでない時はいたたまれない気持ちになります。
今回は、サッカーの試合で子供が途中出場することになった時のために、保護者ができることについて考えてみたいと思います。
途中出場する選手の気持ちとは。
もし、途中出場した子供が、思っているような活躍ができなかった時。
「だから、練習しときやって言ったのに…」
ついついこんなことを言ってしまうこともあるのではないでしょうか。
ベンチスタートとなる選手にとって一番辛いのは、自分がいつ呼ばれるか分からないことです。
大差で勝っている時や、自分たちの方が強いと分かっている場合は良いですが、均衡した状況で交代する場合はとても緊張します。
時には、仲間が怪我をして、やったことのないポジションで急に出場することがあるかもしれません。
そんな時に限って、足が速い選手やドリブルが上手い選手とマッチアップしたり、背が高く体格が良い選手にマークに行けと言われます。
試合に溶け込めないまま、自分の所にボールが転がってきて、ミスをして失点につながってしまう。
途中出場する選手は、そういった見えないプレッシャーやハンデを背負いながら試合に出ていることを忘れてはいけません。
また、いつも先発で出ている選手が途中出場する場合は、また違った種類のプレッシャーがあります。
すでに始まっているゲームに入っていく難しさは、既に始まっている会話に入っていくようなものです。
流れに乗っていないと、全体をシラケさせる原因になります。
選手交代をするシーンはどんなものがあるか
監督やコーチが選手交代をする時、どんな意図が含まれているのでしょうか。
もう少し具体的なシーンを思い浮かべながら考えていきたいと思います。
①出場している選手の調子が悪いとき
選手交代の理由として一番多いのが、出場している選手の調子が悪いときです。
明かに動きが悪かったり、ミスを繰り返していたり、相手の攻撃の的にされている場合です。
コーチとしては修正するしかないので、同じポジションの選手と交代させることになります。
交代した選手は、いつものパフォーマンスが出せなかった理由を考えなければなりません。
ジュニアサッカーでは、試合序盤でこの交代が行われることが多いです。
②相手の弱いところを突いたり、試合の展開を変えたいとき
拮抗した試合や劣勢が続いている場合、相手チームの弱点を突くために行われる交代です。
相手選手の体力がなくなってきたころに、ドリブルが上手かったり足が速いといった特徴のある選手が出場すると厄介です。
レギュラー争いが激しい強豪チームには、この種の交代をするチームが多いと思います。
交代する選手のやることが明確なので、交代の意図が選手だけでなく見ている人にも伝わってきます。
③大勝、もしくは大敗しているとき
試合序盤で得点差がつき、ある程度勝負が決まった試合でする交代。
勝敗にこだわるというよりも、試合の経験を積ませるといった意図が強くなります。
大勝しているときは全員が得点できたり、いつも控えの選手が活躍したりと見ていて楽しいですが、大敗していると目も当てられないものになります。
連携が取れていない、士気が下がっている、もう勝てないと思っている中で良いプレーをするのはかなり困難です。
選手自身も、大敗している試合には「できれば出たくない」と思っているかもしれません。
④出場させるのが目的のとき
良いか悪いかは別として、ジュニアサッカーの試合には出場することが目的になっている場合があります。
そういった試合は、試合終了間際にバタバタと交代する選手が増えていきます。
試合やプレーの内容というよりも、出場機会の少ない選手に試合経験を積ませる意味合いが強くなります。
練習試合や大差で勝っている試合であれば、守備の主軸選手を残しておけば、得点は取れなくとも試合は成立するからです。
また、公式大会のリーグ最終戦をセカンドチームで挑むといったケースがこれにあたります。
選手や保護者にとっては複雑な心境ですが、チームの意向を汲み取り目の前の試合に向かうことが大切です。
その交代にはどんな意味があるのか
『スーパーサブ』と聞くと誉め言葉のように聞こえますが、途中出場を最初から望んでいる選手はいません。
誰しもがスタメンを目指し努力する中で、たまたま途中出場して活躍した選手がそう呼ばれているだけなのです。
監督やコーチはどういった期待を持って交代をしようとしているのか。
今からピッチに入っていく選手は、果たして何が得意な選手なのか。
もし、サッカーの試合で自分の子供が途中出場することになったら、こういった視点で観戦していくと気付かなかった何かが見えてくるように思います。
失敗しないことだけを望んでピッチに入るのではなく、自分の役割りや目的を明確に持ってピッチに入っていく。
入り方が少し違うだけで、結果が変わってくるかもしれません。
そして、試合が終わった後には、こんな風に声を掛けてあげましょう。
「あの時、こういう気持ちで入って行った?」「こっちにも伝わって来たよ。」
もし、あっていたとしたら、観戦がもっと楽しくなるように思います。