「子供が大きくなったらサッカーをさせたい」
テレビや動画で流れてくる一流のサッカー選手の姿を見て、そう思うお父さんは多いのではないでしょうか。
最近では男の子だけでなく女の子のサッカー人口が増えており、技術面でも目を見張るものがあります。
実際にジュニア年代においては、強豪チームにおける女子選手の割合が増えており、チーム形成に欠かせない存在になりつつあります。
第37回 関西少女サッカー大会を制した北摂ガールズの試合を見ると、まだまだ女子選手の可能性を感じます。
ジュニアサッカーを観戦するお父さんには、休日に子供とボールを蹴って練習することが楽しみという人が大勢います。
サッカー経験のあるお父さんはもちろん、経験がなくてもパスやシュートの練習相手として運動するのが楽しいという訳です。
気持ちよく晴れた日に、公園で一緒に練習をする親子の姿を見かけるのは、そういった理由があるからです。
熱心なお父さんであればあるほど、子供にもっと上手くなって欲しい、1試合でも多くレギュラーで出て欲しいと思うのは仕方のないことです。
しかしながら、その願いとは裏腹に一緒にする練習が上手くいくとは限りません。
親と子の熱量ややりたいことが違うがために、ケンカになってしまうこともしばしばです。
今回は、サッカーが好きなお父さんに向け、子供と一緒にサッカーの練習を始める前に確かめておきたいことについて考えてみたいと思います。
子供と一緒に練習できる時間は、思っているより短い
まず、知っておきたいことは、子供と一緒に練習できる時間は思っているより短いということです。
多くの子供は、幼稚園・保育園から小学校低学年の間にサッカーを始めます。
ジュニア年代を全力でサポートするなら、小学校卒業までの約6年間が一緒に練習する期間となります。
それ以降は、お父さんの体力がついて行かなかったり、友達との練習が優先されるからです。
この6年間という期間は長いようで短く、毎週1時間一緒に練習したとしても全部で約300時間しかありません。
もちろん、天候が悪かったり試合が入ったり他の用事でできないこともあるため、実際にはもっと少なくなります。
もし、隔週の練習になった場合は、全部で約150時間となり6年間のうちの6~7日程度の長さです。
この限られた時間を有効に使っていくには、子供の特徴に合った練習をするべきです。
ただ単にボールを蹴るのではなく、目的や意図を一緒に考えながら練習をしていくと良いと思います。
場所選びを知っておく
親子練習を始める人の多くは、近くの公園や広場に行くことからスタートします。
しかしながら、家の近所にある公園は、サッカーの練習に向いていない可能性があります。
ここでは、サッカーの練習に向いている公園の条件を挙げてみます。
- 徒歩圏内で道中に信号がない
- 遊具が少なく小さい子供がいない
- 水はけの良い芝生の広場がある
- フェンスや樹木で囲われている
- 休憩ができる日陰やベンチ、水道やトイレがある
- 草木の手入れがされていて虫が少ない
サッカーの練習をするなら、広い場所がないといけないと思いがちですが、リフティングやパス程度の練習であればそれほど広さは必要ありません。
できれば、土のグラウンドよりも芝生の方がボールが少し浮いて蹴りやすく、怪我の防止に繋がります。
小さい子供が多い場所は、近くを通るたびに練習がストップしてしまうので、避けた方が良いかもしれません。
もし、これらの条件に合う公園が近所にあるなら、自主練習を始めない理由はありません。
言い換えると、子供にサッカーをさせたいと思っているなら、この条件に合う公園の近所に住んだほうが良いということです。
公園の良いところは、体操に来る人や、犬の散歩に来る人、近所に住む子供など、知らない人と自然に触れ合えるところです。
練習を続けていると、同じような時間に来る人達と段々顔見知りになり、徐々に会話をするようになっていきます。
小さな子供が、知らない大人に挨拶をしたり、対等に触れ合う機会がある場所はそう多くありません。
10才でバルセロナに入団した久保建英選手の父親の著書「おれ、バルサに入る!」にも、小さい頃から近所の公園で練習を始め、近所の人達と触れ合う機会をつくっていたというエピソードが記されています。
練習時間を知っておく
休日に練習をするなら、朝平日と同じ時間に起きて練習するのがお勧めです。
水分補給だけ行い、できれば朝食は食べずに練習に行きましょう。
朝のグラウンドは気持ちが良いですし、使っている人が少ないので自由に練習ができます。
お母さんに帰ってくる時間だけ伝えておけば、練習が終わってからすぐに朝ご飯を食べることができます。
練習時間の目安(練習場所への往復移動時間も含む)は、これくらいを目安にします。
幼児から低学年 ~30分
中学年から高学年 30分~60分
くれぐれも最初から飛ばし過ぎない、ちょっと物足りないかなというくらいで始めるのがお勧めです。
運動した後、軽くシャワーを浴びて食べる朝食は最高においしく、幸せな気分になれます。
練習後の時間を有効に使えるので、とても充実した1日になります。
練習する時間を午後や夕方にすると、面倒になったり急な用事が入ったりして結局行かなくなる可能性があります。
余裕があるなら、朝練の後に焼き立てのパンを買って帰ると家族が喜びます。
ボール選びを知っておく
これから親子練習を始めるお父さんは、サッカーの練習はちゃんとしたボールでないといけないと思っているかもしれません。
しかしながら、サッカーを始めたばかりの子供にとって、ジュニアサッカーの公式球は大きくて硬いボールになってしまいます。
できれば、軽く柔らかいビニールボールやひと回り小さい3号球から始めた方が、足への負担が少なくて良いと思います。
また、ボールはひとつだけでなく、素材を変えて2~3球用意しましょう。
外で使うボールと家で使うボールを分けておくと、衛生的にも安心です。
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シューズ選びを知っておく
サッカーは足でするスポーツであるため、シューズ選びがとても重要です。
スニーカーや運動靴でしている親子も多いですが、せっかく練習をするならサッカーシューズを履いて練習をしましょう。
かたちや見た目から入った方が「練習するぞ」という気持ちになります。
一般的にトレシューと呼ばれる、練習用のシューズがお勧めです。
普段履きの靴と比べて丈夫ですし、サッカー以外のスポーツをする時にも使うことができます。
お父さん用は、海外メーカーよりミズノのモレリアやアシックスのトッキなど、国内メーカーの定番シューズがお勧めです。
いかにもサッカーシューズというのが嫌なら、デスポルチのインドアシューズはタウンユースがしやすいデザインです。
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道具が要ることを知っておく
親子練習を始める時は、サッカーボール以外の道具も揃えたほうが内容の濃い練習ができます。
できれば揃えておきたい道具は、円形マーカーとポップアップ式のミニゴールです。
特にマーカーは自主練習で毎回使用するため、最初から揃えておきたいところです。
三角コーンではなく円形のマーカーのほうが、ボールが当たって倒れたり、風で飛ばないのでお勧めです。
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次に持っておきたいのがポップアップ式のミニゴールです。
親子練習でミニゲームをすることはあまりありませんが、シュート練習やパス練習に使うことができます。
自主練習をしていて一番困るのが、パスやシュートを打つ場所がないことです。
壁やフェンスに当てると騒音の原因になりますし、練習場所に必ずあるとも限りません。
ミニゴールがあると、好きな場所で本格的な練習をすることができます。
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自宅でトレーニングするのであれば、2点セットの1つを室内用、1つを屋外用としておくと良いと思います。
子供たちはゴールがあるだけで、ボールを蹴りたくなり、自主的に運動をするようになります。
小さいものは持ち運びに便利ですが、風で飛んだり、動いたりするので、屋内屋外のどっちをメインで使うかを考えて大きさを選びましょう。
子供に合う練習を知っておく
テレビや動画サイトを見ていると、キレキレのドリブルをする子供の映像が流れることがあります。
親子練習を始める人は、どうしてもこの印象が強いため、いきなりドリブルや1対1のハードな練習をしがちです。
しかしながら、多くの子供は基礎技術が未熟であり、練習時間の割に効果が見えないことがあります。
ドリブルや1対1は、サッカースクールや子供同士の遊びでするので、あえてこの練習はしないと割り切っていくのも一考です。
今日から親子練習を始めるなら、「今更これするの?」と思うような簡単な練習から始めると良いと思います。
例えば、子供に向かってボールを転がし、お父さんの足元に返すといった単純な練習です。
「行くぞー」と声をかけて転がし、ボールが足元にきれいに返ってきた時だけ褒めてあげる。
勢いのある良いボールが返ってきた時は、大げさに驚いてみたり、「ナイスパス」「ナイスシュート」と声をかけて、正解の形を覚えさせる。
足を変えて練習すれば、これだけでも30分くらいすぐに経ってしまいます。
私たちは、このようなスクールや子供だけではやらない地味な練習こそ、親子練習に向いていると考えます。
声をかけながら、パスやシュートの相手を根気よくできるのはお父さんしかいないからです。
サッカー経験のあるお父さんは、上手くなって欲しいがあまり、ついつい難しい練習をしてしまう傾向があります。
しかしながら、育成年代に行う練習は、基礎練習や体幹トレーニングのほうが目に見える効果が出やすいのが事実です。
ボールを使った練習をしたいのであれば、ボールの芯を捉えることを意識しながら対面パスを繰り返すだけでも効果的なトレーニングになります。
繰り返し行う練習の中から、子供の武器となる種を見つけ、その種を試合で使えるようにまた新しい練習を考える。
練習→試合→改良→新しい練習のサイクルを繰り返すことで、子供の特徴にあったトレーニングメニューが段々出来上がっていきます。
どうしてもゲームをしたいのであれば、基礎練習が終わってからという『決まりごと』にしておくと良いと思います。
子供の夢を知っておく
未経験から始める親子練習は、荒野を歩いて行くようなもので、舗装された歩きやすい道はありません。
動画で見るサッカー少年のようになるには、それなりの時間や経験が必要となるわけです。
東大に入るよりも難しいと言われるプロサッカー選手への道をどう攻略していくか。
それはまるで、自主練習という経験値を積み重ね、試合というバトルで勝ち抜くロールプレイングゲームのようでもあります。
継続的に同じ練習をしたことのない子供にとって、成果の見えづらい日々はなかなか辛いものです。
親子で意見が食い違ったり、時には衝突してケンカになることもあります。
ただ、トレーニングした内容が試合で発揮できたり、コーチに褒めてもらった時の喜びは代え難いものがあることを忘れてはいけません。
そして、子供と一緒に汗を流した数年間は、お父さんだけでなく、子供にとっても大切な思い出となっていきます。
子供に「将来の夢は?」と聞きいて、「サッカー選手」と返ってきたら、あなたはどう答えますか?
1年後に「将来の夢は?」と聞いて、同じく「サッカー選手」と返ってきたら、あなたはどう答えますか?
サッカー選手になる夢を諦めない子供を前にして、あなたは次にどんな行動をとりますか?
もしかすると、父と子のロールプレイングゲームはすでに始まっているのかもしれません。
「子供が大きくなったらサッカーをさせたい」そう願っていたお父さん。
サッカー選手になりたいという子供の夢を叶えるために、大人が持つ経験や知恵を最大限に使って、一緒に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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