「最高気温35度やって。暑くなるから熱中症に気を付けてね」
「わかってる、水もたくさん持ったから大丈夫」
「カバンにお金入れておいたから、足りなくなったら向こうで買ってよ」
「オッケー、じゃあ行ってきます!」
試合当日の朝にこんな会話をしたにも関わらず、水が足りなくなって喉をカラカラにして帰ってくることってありませんか。
あんなに沢山持って行った水はどこに行ってしまったのでしょうか。
今回は、真夏の暑い日ほど、保護者が子供の観戦に行った方が良いと思う理由について考えてみたいと思います。
水の補給ができる
夏場のスポーツで一番重要になるのが水分補給です。
冬場よりも汗の量が多くなるため、より多くの水分を摂取する必要があります。
ジュニア世代であれば、普段使いの水筒で1L程度、夏場で1.5~2Lの水筒を使っている子供が多いと思います。
しかしながら、2Lの水筒はかなり大きくて重たいので、年齢や荷物の量によっては持たせにくいのが悩みどころです。
ジュニアサッカー観戦をしていると、水がなくなって困っている選手を見かけることがあります。
特に、春から夏にかけて気温が上がっていく季節や、遠征先でコンビニや自動販売機が近くにない場合が多いです。
今日はまだ涼しいからいつもの水筒でいいやと思って出かけたものの、予想以上に暑くなって水が足りなくなってしまうという訳です。
体が暑さに慣れていないため、体温調整ができずに会場で気分が悪くなったり、コンビニや自販機が近くになかったり、売り切れてしまっていることも良くあります。
予備の水を持っていてくれる保護者は、子供たちが水筒の残りを気にせずプレーできる存在になります。
トラブルに対応できる
夏場は、体調不良で気分が悪くなる選手が増えるとともに、ケガをする選手も多くなる季節です。
暑くなることで肌の露出が増えたり、夏休みを利用した大規模な大会が増えるためです。
もちろん、何かあった場合は引率のコーチが手当をしてくれますが、ずっと付き添ってくれるわけではありません。
病院に連れて行ったり、体調の悪い子供だけ途中で帰るといった対応をするには、すぐに動ける保護者が必要です。
保護者がジュニアサッカーを観戦する理由は、子供たちの成長を見届けるだけでなく、突発的な事故に対応できる体制を保護者全体で取っておくことにもあります。
現在のチーム力が分かる
夏の過酷な環境は、現在のチーム全体の力を露わにします。
交代のタイミングや休憩の取り方、苦しい時間帯での踏ん張りなど、普段の練習の成果だけでなくコーチのマネジメントが試されるのもこの時期です。
強豪と呼ばれるチームは、暑い日の戦い方を知っていますし、そういった環境の中でも高いパフォーマンスを出しています。
ジュニアサッカーでは、秋に公式戦や大会が組まれれることが多いため、夏場のチーム状況がそのまま成績に影響します。
過酷な夏場の試合を乗り越えてきた経験は、チームの結束力を高め、結果として大きく成長するきっかけになっているように思います。
暑さと危機管理の感覚が身に付く
サッカー観戦を重ねていくと、天気予報や体感温度でその日がどんな日になるのかが分かるようになります。
この肌感覚はとても重要であるにも関わらず、一日中外に出ている子供とあまり観戦に行かない保護者とでは認識の違いが出やすくなります。
特に保護者の感覚にズレがあると、気温が急激に上昇する季節にあまり冷えていない水を持たせていたり、水が足りなくなったりすることがあります。
日本では、毎年気温が高くなっていく7月に、最高気温の高い8月と同じくらいの人が熱中症で救急搬送されています。
体が暑さに慣れておらず、対策を十分にできていないことが理由になっていると思われます。
一旦冬場を超えてしまうと、暑さに対する免疫がなくなり、保護者自身も油断してしまっているところがあるからです。
“ 雨上がりの日は、地面からの湿気で想像よりも蒸し暑くなる ”
これは、サッカー観戦を経験している保護者にとってはあるあるの話です。
特に人工芝のグラウンドや、周囲をフェンスやネットで囲っているグラウンドはサウナ風呂のような状態になります。
この暑さがどのようなものかは、話を聞いただけの人だとわからないように思います。
「あのグラウンドは日陰が少ないな」
「今日は天気が変わりやすそうだから、着替えを用意しておかないと」
「あそこはコンビニが近くにないから、いつもよりも多めに水を持たせよう」
「あの道は、朝に混みやすいから早めに出掛けたほうが良いね」
後々後悔しないためには、子供たちが運動をする場所がどういう状況になっているのかを知っていると、色々と対策を打てることがありそうです。
保護者自らが身を持って感じた経験や知識が、子供たちを不慮の事故や災害から守ることに繋がります。
子供たちがかっこよく見える季節
炎天下の中で、1日中サッカーをして過ごした日。
体中真っ黒に日焼けして、夕焼けに照らされる泥だらけの子供たち。
夏を乗り越えた子供たちは、春に見た時とは違って大きくたくましくなっています。
子供たちは一年中サッカーをしているにも関わらず、思い出は夏の方が印象に残るのはなぜでしょうか。
それは、子供たちがかっこよく見える季節であるからかも知れません。
学校や外に出て遊ぶ時間が少なくなった今年の夏は、保護者や子供たちにとって特別な夏になりました。
「そういえば、この夏はどこにも行かなかったよね」
少し後になって、そんな独り言のような会話が世界中の家庭で聞かれそうです。
今日は子供のサッカーを観に行く。
2020年は家族で行くサッカー観戦が、特別なイベントになる年であるように思います。