「コーチ、僕が試合に出れない理由を教えて欲しいです」
「そうだな、もう少し1対1で抜かれないようにディフェンスの練習をがんばって欲しいな」
「わかりました。ありがとうございます。やってみます」
勇気を出してコーチに質問したA君は、その日からディフェンスの練習を強化することにしました。
お兄ちゃんを相手に1対1の練習をしたり、動画やプロの試合を見て、動き方やポジションで気付いたことを書き出して研究しました。
A君の努力は目を見張るものであり、両親も成長を感じていましたが、試合に出る回数が大きく増えることはありませんでした。
「試合に出れなくて悔しい」
「どうしたら試合に出れるのだろう」
サッカーに限らず、スポーツをしている人であれば、こういった感情を抱いたことのある人は多いと思います。
自主練をしたり、声を出して盛り上げたり、勇気を出してコーチに聞きに行ったにもかかわらず、状況が改善しないというのはなかなか辛いものです。
今回は、レギュラー争いをする選手が試合に出れない本当の理由について考えてみたいと思います。
コーチの理由は、本当でないかもしれない
もし、あなたが試合に出れない理由を聞かれるコーチの立場だったとします。
明かに試合中に走れない選手の場合、果たして本当の理由を言うでしょうか。
(守備サボるからなぁ…と思いながら)
「最後まで走れる体力がつくといいかもね」
体力が、、、とか体が小さいから、、、とか、選手が傷つかないようにするために抽象的な言葉を言ってしまうかも知れません。
保護者が側にいると、よりその傾向が強まるように思います。
『守備をサボる』と『体力がない』は似ているように聞こえますが、実際に解決するためのアプローチが少し異なります。
『守備をサボる』を改善するには、ポジションを良くする、攻守の切り替えを早くする、持久力をつけるなどが必要です。
『体力がない』を改善するには、体を大きくしたり、持久力をつけるなどが必要です。
『守備をサボる』という理由は、選手にとって厳しい言葉ですが、具体的な改善方法が見つけやすいとも言えます。
逆に『体力がない』という理由は、選手にとっては納得しやすいものの、改善方法がぼやけてしまいます。
このように、言われたことをそのまま受け止めてしまうと、改善に向けたアプローチがズレてしまい、コーチが望んだプレーになりません。
育成年代を見守るコーチたちは、選手のことを気遣い、あえて遠回しな言葉で表現する場合があります。
したがって、選手や保護者は理由をそのまま受け止めるのではなく、あえて選手に言いにくい言葉に置き換えてみると良いかもしれません。
もし、試合に出れない理由を聞きに行くなら、本当の理由が帰って来ないかもしれないということを理解しておくべきです。
コーチの理由は、間違っているかもしれない
もし、あなたがコーチの立場だったとします。
突然目の前にやって来た選手から、試合に出れない理由を聞かれ、その場で100点の回答をすることができるでしょうか。
たまたまあなたについて考えていた時であれば良いですが、ほとんどの場合はそうではありません。
多くのコーチは、もう少しこう言った方が良かったんじゃないか、こっちの理由が良かったとのではと反省しているように思います。
答えるまでの時間が短いと、その場で思いついた浅い答えになる可能性があるということです。
その後のサッカー人生を左右する大事な話をするのですから、コーチがゆっくりと考えられる時間を取ることが大事です。
もし、コーチが忙しそうなら、口頭ではなくメールやLINEで聞いてみるのも手です。
答えを考える時間を取れますし、文字にすることで頭の中が整理され、より本質的な理由が返ってくるように思います。
コーチの理由は、弱点の克服だけではない
そして、コーチから理由が返ってきたとしても、それだけを改善していては試合に出ることができません。
弱点を克服しただけでは、その選手を使う理由が生まれにくいからです。
コーチは試合に勝つために選手を選んでいます。
これはカードバトルゲームと似ていて、それぞれの選手の個性を組み合わせながら、相手に勝てるチームをつくっていく作業です。
弱点を克服した選手というと聞こえは良いですが、逆に強みのない選手とも捉えられます。
試合に出たいのであれば、自分の強み、こういう武器を持っているということがコーチに伝わっていなければいけません。
強みや武器と聞くと攻撃をイメージしがちですが、勝利に繋がるならどんなことでも構いません。
トラップからパスが早い、ボールを奪われない、ポジションが良い、キックやスローインが飛ぶなど、その選手の代名詞となるプレーが強みや武器と言えます。
ここで言う強みはあくまでも技術的なものであり、声の大きさや協調性のような精神的な強みは考えない方が良いです。
例えば、足が遅くて体力がない選手でも、ロングキックが使える選手なら、コーチは一発逆転を狙って試合に出す可能性があるということです。
『陰の努力』が間違っている
普段から子供のことをよく見ているコーチは、見えないところで練習をしている選手とそうでない選手を何となくわかっています。
育成年代は、それだけ正しい努力がパフォーマンスに結びつく年代であるためです。
その場合、コーチにとって試合に出さない本当の理由は「他の選手よりも成長していないから」になります。
しかしながら、多くのコーチは本当の理由を選手に言いません。
コーチが選手の成長を感じ取るのは、ひとつひとつのプレーの質のところです。
難しいボールをピタッと止めたり、インサイドキックの正確さだったり、ボールをもらう前の動き方だったり、一瞬のプレーに成長を感じます。
一瞬のプレーの質は、保護者が喜ぶシュートやゴールの数ではなく、意識なくできるくらい習慣化できているかどうかにかかっています。
私たちはしばしば『陰の努力』を時間で評価してしまいます。
家でする自主練や他のサッカースクールへ行く時間を増やすことが、陰で努力していると勘違いしてしまうのです。
そうならないためには、やみくもに時間を増やす練習から、ひとつひとつのプレーの質にこだわる練習への切り替えが必要です。
キックの練習をするなら、一番使うインサイドキックをどうやったら相手がトラップしやすくなるのかにこだわってみる。
そんなことを考えながら蹴っていると、蹴る前の体の向きや、軸足の位置、ボールの当てる位置のコツがだんだんわかってきます。
コツがわかると、そのコツを分かっている選手とそうでない選手の違いが分かるようになります。
もし、自分で掴んだコツがコーチに褒められた場合は、『陰の努力』にコーチが気付いたということです。
試合に出たい選手は、声を大きくしたり点を取るよりも、『陰の努力』でアピールしていく方が効果が高いように思います。
基礎技術に自分流のこだわりを見つけているか
試合に出れない選手の中には、努力の仕方を間違っているがために、試合で使いにくい選手になっていることがあります。
例えば、トラップミスが多い(足元の技術がない)にもかかわらず、毎日走ったり、シュート練習をしているような選手です。
パスやトラップといった頻繁に使う基礎技術にミスが多いと、サッカーが下手な印象が付きやすくなります。
こういった選手は、『自主練=走る』『試合に出る選手=得点を決める選手』という思い込みを捨て、トラップの基礎練習に時間を割くべきです。
おそらく、コーチは普段の練習からトラップの大切さを説いていますが、多くの選手はコーチと同じ視点で理解できていません。
ボールを止める位置や当てる場所、体の向きなど、細かい部分にまでこだわる面白さを知らないからです。
そういったディティールにこだわる面白さを知り、違いを出せる技術が身に付いてくると、コーチと同じ視点で理解できるようになります。
このように、知っていると理解しているの境目を超えていくには、自分流のこだわりをつくることが大切だと思います。
コーチの答えは、「君はどう思う?」かもしれない
「君はどう思う?」
勇気を出して試合に出れない理由をコーチに聞きに行った日、コーチから出た言葉が「君はどう思う?」だったらどうしますか。
何かしらのアドバイスをもらえると思っていたあなたは、その時点で頭が真っ白になってしまいます。
コーチによっては自分の答えをすぐに言わず、まず本人がどういう努力をしているのかを確かめるかもしれません。
言われたことをやるだけの選手よりも、自分で考えて努力できる選手の方が成長するのを知っているからです。
「君はどう思う?」と尋ねたコーチは、答えを聞くことで、選手がどこまで真剣に考えているかを推測します。
なぜなら、コーチ自身も試合に出られない悔しさを知っていて、なぜ試合に出られないのかを考えてきたからです。
もし、選手が答える理由がコーチが思う理由と違っていたとしても、恥ずかしがることはありません。
自分の弱みや強みを自問自答し、チームのために何ができるかを考える時間は、スポーツが上手くなりたい選手にとって大事な時間です。
そういったプレーとは別の『陰の努力』が伝われば、コーチが試合に出していない本当の理由が聞けるのではないかと思います。
Start over again !(さあ、もう一度やってみよう!)
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