「試合に出たいけどなかなか出れない…」
「俺の方が点を決めているのに、何でコーチは使ってくれないんだろう…」
「いつもサブメンバーだから、次こそ先発で出たい」
8人制サッカーでは、11人制サッカーに比べ出場できる選手が3人少なくなります。
子供やその保護者にとって先発で試合に出れるかどうかは気になるところです。
今回は、試合に出るためにできることを考えてみました。
止める蹴るを確実にする
ジュニアサッカーにおける上手い下手を決めるひとつの基準に、ボールコントロールの精度があります。
特に『ボールを止める』『ボールを蹴る』の2つにミスが多いと、どうしても下手なイメージが付いてきます。
普段は上手にできたとしても、プレッシャーがかかった場面で確実にできるかが問題です。
自主練でボールをすぐにコントロールできる位置に止めているか、相手の足元に受けやすいパスを出しているかを確認します。
守備の上手い選手になる
サッカーの上手い子というと、私たちはどうしても数多く得点する選手をイメージしてしまいます。
ところが選手の中には守備が上手い選手、守備が好きな選手もいます。
守備の上手い選手は、コーチにとってとてもありがたい存在です。
ドリブルやシュートが下手でも、相手の中心選手にしっかりマークしてチャンスを潰してくれる選手は残しておきたくなります。
ジュニアサッカーでは、ある程度出場回数を平等にするためのバイアスがかかります。
ただし、バイアスをかけすぎると試合にならなくなるため、試合ごとにゲームを作れる選手を残します。
その残すポジションになりやすいのが、ディフェンダーやゴールキーパーです。
守備が安定するとボールを奪えるので、一方的に攻められることがなく試合が成立するからです。
ですので、なるべく試合に出たいのであれば、攻撃よりもまず守備をしっかりすることが重要になります。
自分のストロングをつくる
コーチが試合で使いにくい選手は、どのポジションで出したら良いかが分からない選手です。
攻めなのか守りなのか、どのポジションで一番輝くのかが分からないとファーストチョイスから外れやすくなります。
子供が自分で長所を見つけるというのは難しいので、一番側で観ている保護者が見つけてあげるのが良いと思います。
『右足のトラップ』『インサイドキックの正確さ』『体のぶつけ方』など具体的な長所(ストロング)を見つけてあげましょう。
ストロングがあると、プレーに自信がつくようになります。
コーチが目指すサッカーを知る
サッカーを教えるコーチも、どこかしら好きなチームがあります。
年代や実力は違えど、自分のチームにも好きなチームの面影を追うことはあるでしょう。
華麗なパスサッカーが好きなのか、泥臭くハードワークするサッカーが好きなのか…
コーチが目指すサッカーによって、実力を測るものさしも変わってくるということです。
コーチの指示を理解する
ジュニアサッカーの試合を観ていると「コーチから指示が出ているけど、どういう意味か分かっていないな」と感じることがあります。
試合中に選手に向かって発せられる声は、ほとんどがコーチからの指示です。
選手はコーチの声だけで内容を判断し、自分のプレーを修正しなければなりません。
指示は状況や相手によって変化していくので、普段練習していない内容も含まれます。
コーチの言うことが理解できていないと、せっかく出場しても交代となってしまいかねません。
自分がイケてると思ったプレーでも、ビデオで見るとそうでもない場合があります。
そういったイメージのギャップを埋めていく努力が必要になります。
自分の映像を見返したり、プロの試合を観に行ったりして、良いプレーのイメージを蓄積する。
コーチの言葉を理解するために、イメージのストックをたくさん持つ選手になりましょう。
試合がある週の練習を頑張る
例えば、週末に試合があるとしたら、平日の練習は先発メンバーを選考する時間になります。
育成年代は好不調の波が激しいので、コンディションの良い選手を起用することが勝利につながります。
試合前の練習は実践をイメージしており、良いプレーをしている選手がいると先発で使ってみたくなります。
試合当日ではなく、試合前の練習でアピールすることが重要であるということです。
ファーストタッチは丁寧に
試合に出ると緊張して自分のプレーが上手く出せない。
練習ではのびのびプレーできるのに、試合になると全然発揮できない。
子供の中にはこういう選手がたくさんいます。
上手く試合に入っていくには、最初のファーストタッチを丁寧にすることが大切です。
良いトラップ、良いパスが出ると選手の気分も乗っていきます。
逆に、最初のファーストタッチに失敗したり、なかなか触れない時間が続くと体が硬くなっていきます。
試合の流れに入っていない選手は明らかにわかるので、コーチの心理としてはどうしても交代させたくなります。
したがって、試合に出たら最初のタッチを確実にするというのが重要になります。
出欠連絡は早くする
チームから来る出欠連絡はなるべく早く返信しておきましょう。
連絡が遅い、急な欠席が多い選手はどうしても招集しにくくなります。
例えば、週末の試合に欠員が出た場合、追加招集しやすいのは連絡が付きやすい選手です。
試合の多いチームに移籍する
実力はあっても試合数が少ないと必然的に出る回数が減ります。
育成年代は試合を重ねることでプレーの幅が広がっていくので、より実践的な経験を求めるならチームを変えることも一考です。
強いチームと試合が組めるかどうかは、チームの持っているコネクションが重要になってきます。
また、同じ学年でもチームによって試合回数は大きく異なります。
毎週のように組まれているチームもあれば、月に全く試合のないチームもあります。
今のチームを普通と思わず、他のチームがどれくらいの頻度で試合をしているかを調べてみると良いかもしれません。
ただし、試合回数が増えると保護者の負担が増えていくことを知っておきましょう。
労力だけでなく、遠征費などの金銭面でも負担は大きくなります。
ただし、その遠征や合宿の時間は、子供が自分で生活する力をを養い、親子の絆を深めていく時間となっていきます。
競う姿は美しい
レギュラーと控え、ファーストとセカンド、AチームとBチーム。
言い方やマイルドさは異なりますが、そこには『競争』が存在しています。
『競争』という言葉は時にとげとげしく、ともするとあまり良いイメージに受け取れないことがあります。
『競争』をすることで勝者と敗者が明確になるからです。
私たちは、スポーツや遊びにおける『競争』を進んで取り入れていきたいと思っています。
競う姿は美しく、その人を魅力的にすると考えているからです。
子供たちが声を出してグラウンドで戦う姿は、光が差したように輝いて見えます。
試合が終わった後に、遠く離れた場所でチームメイトと楽しそうにしている姿を見ると、
「この年代でしか得ることができない経験をしているのだな」
「こうして少しずつ大きくなって行くのだな」
と、成長していくうれしさと、離れていく寂しさが重なって、奥がキュウ喉のと締め付けられるような素敵な時間になります。
この何とも言えない感情は、厳しい『競争』に飛び込んだからこそ得られるものであるように思います。
試合に出られない時は、各項目でチームの平均以上を目指そう
試合に出られない日々は、子供たちにとって悔しい時間です。
側で見ている家族も同じで、何かできることはないかと手伝ってあげたい気持ちになります。
気持ちばかりが焦り、厳しく接して練習を増やしたりしまいがちですが、良い結果が出るとは限りません。
道に迷った時は、今どこにいるかを把握せずに動くと余計に迷ってしまいます。
まずは、自分たちの位置を確かめる地図や、目指す方向を示すコンパスを用意することが必要です。
子供のスキルを冷静に観察して、現在の立ち位置を把握するということです。
試合に出たいのであれば、基本的な止める蹴る、ドリブル、リフティング、走力のレベルをチーム平均以上にする。
こういった分かりやすい目標を描いた地図を作り、家族で共有すると良いかもしれません。
家族のコミュニケーションから生まれたこれらの道具は、これから先の航海にも役立って行くように思います。