ジュニアサッカーを観戦していると、シュート練習をしている姿を良く見かけます。
試合中のインターバルに、次の試合を行うチームがシュート練習をするというのがお約束になっているためです。
何気なく見てしまいがちなシュート練習ですが、よく見るとチームの実力が良くわかります。
ここでは、観戦をより面白くするためのシュート練習の見方を考えてみたいと思います。
そもそも、試合前のシュート練習は何のためにするの?
■グラウンドを確認するため
ジュニアサッカーのグラウンドは、場所によって大きさや形が異なります。
また、地面の状況や太陽の角度、風の強さなど天候によって目まぐるしく変化していきます。
シュート練習をすることで、実際にボールを蹴りながらピッチの状況を確認することができます。
■実践的なキーパー練習をするため
試合前のキーパーの悩みとして、ゴールを使った実践的な練習ができないという問題があります。
そのため、試合と試合の間やハーフタイムは貴重な練習時間になります。
ボールに慣れていない試合開始直後は、緊張してミスになりやすい時間帯です。
なるべく直前までボールに触れておく必要があります。
シュート練習は連続してボールが飛んでくるので、キーパーのウォーミングアップとして適していると言えます。
■複数の選手が一度に練習できるから
ジュニアサッカーの試合のインターバルは5分程度であるため、複数の選手が一度にできる練習が好まれます。
シュート練習であれば、左右二手に分かれて行うことで数多くボールに触ることができます。
場所と時間を使う1対1や、コーナーキックの練習を試合前にするチームはあまりいません。
シュート練習はここを見よう
■キーパーのポジション
強いチームには必ずと言っていいほど良いキーパーがいます。
ジュニアサッカーにおける良いキーパーの条件は、「背が高い」「キックが飛ぶ」「ポジションが良い」という点です。
特にキーパーの立つ位置が良いとシュートコースが限定され、なかなか得点が入りません。
シュートを打つ側も「なんか入らなさそう」という空気を感じます。
キーパーをやってみると分かるのですが、ボールを追って前ばかりを見ているといつの間にかゴールががら空きになっていることがあります。
ゴールを背にした時の立っている位置が適格なキーパーは、良いキーパーであると言えます。
■左足で蹴れる選手がいるか
一般的に世の中の10人中1人が左利きと言われています。
ところが、サッカー選手にはそれより多くの左利きの選手がいます。
左利きの選手がいると、クロスやシュートなど攻撃のバリエーションが増えるため、チームにとっては大きなメリットになります。
また、ボールの持ち方やパスコースが異なり、ディフェンスをする時の立ち位置が変わってきます。
予想がつかない動きをする選手との対戦は、ディフェンスにとって不利な状況になります。
■ボールをミートできているか
ジュニアサッカーにおける戦術のひとつとして、ロングキックを活かした攻撃があります。
ゴールキックやフリーキックのセットプレーもそうですし、遠目からのロングシュートもキック力があることで成立します。
したがって、ロングキックを蹴れる選手がいるというのは、チームにとって大きな戦力になります。
ロングキックは、キック力よりもミートする技術が重要です。
足をコンパクトに振りぬいてミートすると、強い弾道のシュートが飛んでいきます。
強く打っているように見えないのにシュートが速い選手は、要注意であると言えます。
シュートは、ゴールに打たないと入らない
得点につながるシュートを打つには、「コース」と「タイミング」と「強さ」が重要になります。
タイミングやスピードは少々悪くてもゴールになる場合がありますが、コースが外れていると絶対に入りません。
キーパーが弾いたりポストに当たって跳ね返ってくることのない、入る確率がゼロのシュートとなります。
ちなみに、ジュニアサッカーで打たれるシュートは、ゴールの外へ飛んでいくことがほとんどです。
強く蹴ることに意識が行ってしまい、コースを狙うのが二の次になるからです。
なかなか得点が入らない、攻撃力が弱いチームは、
「シュート練習中に何本シュートを打っているか」
「そのうち何本がゴールの枠内に飛んでいるか」
を実際に数えて検証してみると良いかもしれません。
例えば、試合前によく見るセンターサークルからのポストシュート。
打ったシュートのうち枠内に飛んだのが半分以下であれば、そのチームは試合で得点できない可能性が高いと言えます。
ノープレッシャーの状態なら8割くらいは入れておきたいところです。
逆に半分以上をキーパーが止めているいうのであれば、そのキーパーが上手いということが分かります。
しかもシュートが枠内に飛んでいるので、それだけチーム全体のシュートが上手いということも分かります。
シュート練習でキーパーが好セーブを連発しているチームは、強いチームである可能性が高いと言えます。
ドリブルの上手なチームはあっても、シュートの上手なチームは少ない
メッシやネイマール、久保建英選手の活躍やYou Tubeの影響もあり、ジュニア年代ではドリブラーと呼ばれるドリブルの得意な選手が育っています。
街のスクールではマーカーやコーンを置いて練習をしたり、ドリブルを専門に教えるサッカースクールが増えています。
強豪と呼ばれるチームでは、ポジションに関係なくドリブル突破を仕掛けてくるので、相当時間をかけて練習しているように思います。
一方で、シュートの技術はどのチームもそこまで大きな差がありません。
練習が地味だったりスペースの問題があるので、そもそも練習をする機会が少ないことに起因しているように思います。
逆に言うと、シュートの上手い選手になれば、他の選手にない武器になると言えます。
日本に遠征に来る海外のジュニアチームには、シュートの上手な選手がいます。
もちろん体格の違いはありますが、ボールを正しくミートする技術が長けているように思います。
せっかくドリブルで相手をかわしたとしても、肝心のシュートが入らなければ得点になりません。
あなたが応援するチームが放つシュートは、ゴールに飛んで行ってますか?