ジュニアサッカーを観戦していると、チームでリフティング練習をしている光景を見ることがあります。
落とさないように続ける練習だけでなく、インサイドや腿など決まった場所で行う練習、2人組でパス交換のようにする練習。
時には、大車輪や上げ技を見せあったり、待ち時間に円になってする遊びのリフティングもあります。
最初は50回や100回といった、回数が目標となっていたリフティング練習は、より難しい箇所や魅せる技を習得するほうへ変化していきます。
ただし、そういった技術は試合でつかうことがあまりありません。
サッカーが上手くなるためにリフティングはできた方が良いと思うものの、どこまでやればいいのか迷うところです。
今回は、リフティングの練習はどこまでやればよいのかについて考えてみたいと思います。
リフティングはマウントの取り合いである
まずは、この映像を見て欲しいと思います。
サッカー日本代表の選手が、合同練習をしている光景の一コマです。
招集後初めての練習なので、どちらかというと息抜きや遊びに近いトレーニングです。
このリフティングにはルールがあって、ボールを持っている選手がパスを出す前に「1」もしくは「2」の数字を言います。
「1」の場合はワンタッチ、「2」の場合はツータッチで他の人にボールを渡します。
このゲームに勝つには、「出された数字を素早く判断」し、「次に渡す相手が取りにくいボールを出す」というテクニックが必要となります。
動画の中の選手は何気なくしていますが、ものすごい駆け引きやリフティングの技が使われています。
海外組が盛り上がっている様子を見ると、おそらく欧州のチームでも行われている遊びであるようです。
「リフティングは試合で使わないからできなくても大丈夫」という話を聞くことがありますが、実際にはできないとこういった遊びで勝つことができません。
これと似た遊びは、日本代表だけではなく、ジュニアサッカーの現場でも起こっています。
練習や遊びで行っているリフティングには、実はマウントを取り合っているという側面があります。
リフティングは相手の力量を測るものさし
サッカーの上手さを説明する時に、決まった単位はありません。
ただ、リフティングは回数やできる技によって、その上手さの加減を明確に伝えることができます。
日本代表のように、知っているけど実際に対戦したことがない選手の力量を知るには、リフティングはもってこいの遊びとなるのです。
ボールの扱いやタッチの正確さ、判断の速さ、性格など、リフティングをするだけで相手の特徴を理解することができます。
私たちが見た目や会話を介して相手を認識していくのと同じで、サッカー選手はボールを介して相手を理解しようとします。
もし、新しいチームや初めて会う選手とサッカーをするなら、自己紹介をするよりリフティングをしてしまった方が早いかもしれません。
このことを踏まえると、「リフティングは試合で使わないからできなくても大丈夫」という意見は、あっているようで間違っている感じがします。
もちろん、リフティング以外でもお互いを理解し合う方法はありますが、手っ取り早く簡単にできる方法に変わりありません。
そう思うと、上を目指すのであれば、インステップやインサイドはもちろん、胸や頭などある程度の箇所でできた方が良いように思います。
サッカー日本代表は、『究極の負けず嫌い』の集まり
次に、この映像を見て欲しいと思います。
2つのチームに分かれてトレーニングが終わり、どっちが勝ったかという話になります。
最初は穏やかに話していた選手たちが、『優勝写真を撮る』とマウントを取られそうになったとたんに騒ぎ始めます。
年長で代表経験の長い吉田選手、川島選手、長友選手が中心になり、ある意味場を和ませるコミニケーションとしてのプロレスをしています。
驚くべきことは、U-24世代の堂安選手や久保選手も負けじと主張しているところです。
途中からは、一見大人しそうな室屋選手や遠藤航選手もこのドタバタ劇に参加しています。
お互いの意見を聞かず、自分の主張を大声で発している姿は、ダチョウ倶楽部のそれに見えます。
吉田選手が「これが一番大事なんだから」と言っているように、これくらいの主張をしなければ生き残っていけないというのが現実のようです。
こうしてみると、日本代表はサッカーの代表であると同時に、『究極の負けず嫌い』の集まりなのかもしれません。
『負けず嫌い』という言葉は、しばしばネガティブな言葉で使われがちですが、ここまで行くとひとつの才能として成立しています。
リフティングやパス交換でマウントを取られた時に、悔しいと思って努力できるかどうか。
代表に初めて招集された選手が「基礎技術が足りていないのを痛感した」と話しているのを聞くと、こういった遊びの中でマウントを取られた悔しさが表れているように思います。
リフティングの練習はどこまでやればよいのか?
もしかすると、この答えは自分の中にないのかもしれません。
サッカーが上手い人に会うたびに、相手にも上手いと認めさせたい、絶対にマウントを取られて負けたくないと思ってしまう。
そういった気持ちがある限り、リフティングは自然に上手くなっていくように思います。
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