ワールドカップや国内リーグの試合を見ながら、好きな選手の真似をする子供の姿は、世界中の親が愛するシーンのひとつです。
テレビに映る一流選手は、小さな子供たちのヒーローであり、その美しい躍動は小さな子供たちや親を熱狂させてくれます。
サッカーには多様性があります。
ボールさえあれば、年齢や性別、人種や言葉に関係なくどこでも遊ぶことができるからです。
このサッカーの多様性には、家庭や学校にはない魅力があると考えています。
選ぶサッカーチームで、その後のライフスタイルが変わる
サッカー未経験の親にとって、子供が所属するチームはサッカーに関わる様々な経験をする学校のような存在です。
そしてチームの存在は、保護者のサポートのあり方を考えたり、地域のコミニティに触れる機会を与えてくれます。
最初は習い事の一つと思っていても、子供のスキルが上がるにつれ自然とサッカー中心の生活になってきます。
知らなかったサッカーのルールを覚え、チームメイトの名前や保護者の知り合いが増えてくると、観戦が楽しくなっていきます。
高学年になると平日は練習、週末は試合というスケジュールになるため、親の生活リズムもサッカーが中心になります。
ライフスタイルの中には、いつもサッカーが入ってくるということです。
親のめあてとチームのめあてがあっているか
サッカーはチームスポーツなので、必ずコーチやチームメイトなど自分以外の誰かの存在が必要です。
子供と一緒に楽しんでサッカーライフを過ごすのであれば、『親のめあて』と『チームのめあて』があっているかを確認しておく必要があります。
ここがズレていると、チームに入ってから「思っていたのと違う」や「こんなはずじゃなかった」となってしまいます。
ただし、ここには『子供のめあて』が入っていません。
なぜかと言うと『子供のめあて』と『チームのめあて』があっていない時は、辞めるという選択ができるからです。
子供のスキルに合わせてチームを移ったり、別のスポーツを始めるというのはジュニア世代ではよくある光景です。
ところが、『親のめあて』と『チームのめあて』があっていない場合は、やり場のない不満を抱えながらサッカーと接することになります。
これから過ごす時間やかかる費用を考えると、あまり良い選択とは言えません。
私たちは、わがままを少し入れた『親のめあて』と照らし合わせてチーム選びをした方が、結果的に良い選択になると考えています。
何を優先してサッカーチームを選ぶかは親によって違う
サッカーチームには大きく3つの種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
子供の年齢やスキル、場所や時間、月々の費用、親が継続的にサポートできるかを基準に選ぶのがポイントです。
※チーム事情や地域によっても異なりますことご了承ください。
1.サッカースクール(略称:SSなど)
幼児や低学年などサッカーを始めたばかりの子供も通えるサッカー教室。平日の練習が中心。
年齢別にパスやシュートの基礎トレーニングを行い、最後はミニゲームをして約60分というのが一般的です。
■メリット
ショッピングモールや駅に隣接した施設にある
屋根付きコートは天候に左右されない
小さな子供でも通えるよう安全面に配慮がある
時間通りに終わる
駐車ができる
待っている間に夕飯の買い物ができる
全国展開している、有名選手がプロデュースしている、元サッカー選手のコーチがいる安心感
■デメリット
教室の位置づけなので、対外試合や選手登録は行わないところが多い
基礎スキルは身に付くが披露する場が少ない
上手な子供にとっては物足りない可能性がある
基礎トレーニングを強化する目的で、スポーツ少年団と並行して通う子供が多いです。
良い施設を使う分、月謝はやや高めです。都心の有名スクールなら1万円を超えることもあります。
安全面、指導面には安心感があり、当番や見守りの必要がないので保護者の負担は少ないです。
2.スポーツ少年団(略称:SS、SC、FCなど)
地域の小学校を中心に活動するサッカーチーム。サッカー経験のある保護者が、ボランティアで指導しているケースが多いです。
小学校を軸にチームが構成されているので、クラスメートがチームにいたり、学校が練習場所となるので子供が一人でも行きやすいのが特徴です。
一部平日と土日祝を中心に2~3時間の練習、土日祝は試合が入ることも多いです。
■メリット
練習場所が近くにある
子供が一人で行きやすい
月謝が安い
公式戦への出場が可能となる選手登録を行う
校区が同じなので顔見知りが多い
■デメリット
時間通りに終わらない
対外試合の送迎や運営の当番など保護者がやることが多い
一昔前のデザインのユニフォームが多い
一番身近なチームですが、チームそれぞれに指導方針や保護者向けのローカルルールがあります。
顔見知りが多い分入るのは容易ですが、一度入ると辞めにくくなるので、気になることは入団前に聞いておいた方が良いと思います。
3.クラブチーム(略称:Jr、FC)
Jリーグクラブや社会人チームの下部組織、街クラブとして法人運営されているサッカーチームです。
規模にもよりますが、スクール形式とクラブ形式の両方を取っている場合があり、年齢やスキルに合わせてコースを選べるようになっています。
基本的には母体となるクラブの本拠地を中心に開催しており、クラブの育成方針がカリキュラムに組み込まれています。
トップチームがすぐ横で練習したり、経験豊富なコーチがいたり、ホームゲームの無料招待があったりと環境面ではとても恵まれています。
■メリット
専門的なコーチがいる
J下部組織は特に施設が充実している
プロサッカー選手育成のカリキュラムがある
ネームバリューがある
クラブの招待イベントがある
送迎や見守りの当番が少ない
(子供にとっては)ユニフォームが今風でかっこいい
■デメリット
開催場所が限られている
月謝は高め
遠征や合宿があり親の負担が大きい
コースによってはセレクション(入団試験)があり入れない場合がある
最近では、Jリーグの各クラブはジュニア世代の育成に力を入れており、地域の主要都市でスクールを開催するケースが増えてきました。
その影響もあり、小学生日本一を決める全日(全日本少年サッカー大会)では、Jリーグの下部チームが決勝戦の常連となっています。
バルセロナやレアルマドリードなど、海外の強豪クラブも日本での育成ビジネスに力を入れるようになりました。
また、都心部では社団法人やNPOとして運営するクラブチームも多数あります。
スクールと同様に送迎や当番が少なく、親の負担が軽減されるので共働きの家庭にはありがたい存在です。
当然ながらプロを目指す技術の高い子供も集まるため、トップのレギュラー争いは激しいものになります。
公式戦で上位に行くために、スポ少を辞めてJクラブの下部組織に移籍する、またその逆のパターンもあります。
親子で母体クラブのサポーターである場合がほとんどなので、クラブのファンが入る傾向があるように思います。
どのコースを選ぶかにもよりますが、プロサッカー選手の厳しさを知ってほしい、親も子供もそのチームが好きであるというのが重要だと思います。
できれば、入る前に知っておきたいサッカーチームの事情
・スケジュール連絡
雨による練習の中止や試合の予定など、親にとってはリアルタイムで更新してほしい情報があります。
メール連絡のところもありますが、HPやブログの方が時系列で確認できるので管理がしやすいと思います。
・欠席と振り替え
急な予定や病気で練習や試合を休むこともあります。
休む時の連絡方法は必要なのか不要なのか。メールなのか電話なのかも知りたいところです。
また、雨で練習がなくなった時に振り替えができないと、支払う月謝が無駄になってしまいます。
チームによっては1週間以内であれば他の曜日へ振り替えOK、他の学年に参加OKなどルールが異なります。
・試合結果
試合の結果報告はHPやSNSで行うところが増えています。
ブログやFacebookなら写真付きですが、文字で結果だけを掲載するチームもあります。
観戦に行けない親にとっては、子供の活躍を知る大切な情報共有ツールです。
更新頻度が少ないと、結果が分からないストレスと付き合うことになります。
最近は防犯面から顔を写さないところもありますので、事前に確認すると良いと思います。
・試合数
サッカーを習っている子供や保護者にとって、試合がある日は特別な日になります。
子供たちは試合の経験を重ねることでどんどん成長し、保護者はその成長をを楽しみに応援にいくからです。
ところが、チームによっては毎週のように試合があるチームもあれば、ほとんど試合がないチームもあります。
公式戦のある高学年は、どのチームも試合数が多くなりますが、低学年は引率するコーチの数や交友関係のあるクラブの数に比例しがちです。
チームによっては、夏休みに1回も試合がなかったというケースもありえますので事前に調べておきましょう。
・どこと試合をしているか
多くのサッカーチームは試合をする時、対戦相手として候補に挙げるのが「同地区の近隣チーム」や「指導者同士の仲が良いチーム」です。
特に低学年は遠くへの移動ができないので、試合を組みやすいチームとの対戦が多くなります。
ただ、試合をする選手や観戦する保護者は、強豪と言われるチームや色々な対戦相手と試合をしたいと思っています。
様々な地域のチームとの交流試合を行い、強豪が集まる大会に出場しているチームは、指導者が良いコネクションを持っていると言えます。
また、強いチームは強いチームと試合を組みたがるので、結果よりも試合相手を見ていくとチームの実力が見えてきます。
・学年や曜日ごとの参加人数
学年や曜日によって参加する子供の人数が異なり、スキルの差が出やすくなります。
人数が少なければコーチから丁寧に教えてもらえますが、ゲーム形式の練習は少なくなります。
また逆に人数が多すぎると、個人指導がなかったり順番を待っている時間が長くなったりします。
同じチーム、同じ月謝でも学年や曜日によって得られるものが違うということです。
・チームメイトや親との相性
学年が上がるごとにチームメイトと交流する時間は増えていきます。
練習や試合はもちろん、合宿に行ったり一緒にJリーグを観戦したりとプライベートでも会う機会が増えていきます。
またその親同士もしかりです。
大事な連絡事項が、子供からの情報だけだと曖昧だったり、聞いてなかったとなることも良くあります。
そんな時は、同じチームメイトのママへ確認することもしばしばです。
チームのコミニティは自分に合いそうか、仲良くできそうかどうかは、子供だけでなく親の相性も重要です。
保護者のサッカーに対する姿勢や観戦の様子、服装、どういった会話をしているかなど、今あるコミニティに心地よく入って行けるかどうかを確かめると良いと思います。