私たちは勝利を観に行くのではない、ただ背中が熱くなる試合を観に行くのである

試合終了のホイッスルとともに、ピッチに沸き起こる観客の拍手と歓声。

観客が思わずのめり込むような試合の後は、応援するチームだけでなく相手チームに対しても称賛の拍手が送られます。

2021-22年プレミアリーグ第32節マンチェスター・シティ×リヴァプールの試合は、まさにその象徴となる試合になりました。

最高峰の試合を戦い終えた両監督はこう言います。

「最高に楽しかったよ」

「こういう試合のために監督をしているんだ」

良いプレーを引き出してくれる最高の相手としての尊敬の念と、お互いのフットボールに対する矜持が込められています。

 

 

ジュニアサッカーにおいても、選手やコーチだけでなく、周りで観ている保護者が感動する試合に出会うときがあります。

特に大きな大会の決勝戦や学年最後の大会など、メモリアルな試合でそれは起きているようです。

 

普段なら単純なミスや消極的なプレーを繰り返す選手たちが、なぜか見違えるように息の合ったプレーを繰り返し、相手ゴールにどんどん迫っていく。

それに呼応するように相手チームも奮起し、敵ながら思わず手を叩きたくなるようなファインプレーで応酬する。

おしゃべりに夢中になっていたお母さんたちは立ち上がって応援し、お父さんは息をのむようにビデオカメラのレンズを覗いています。

家ではだらしがない息子がチームを鼓舞していたり、運動が苦手だった娘が必死にボールに食らいついている姿をただひたすらに追っている。

そんな喉がギュウっと締め付けられるような時間は、何物にも代えがたい記憶となっていきます。

 

「諦めない気持ちが勝利につながった」

「試合は負けたけどいい試合だった」

「最後までよく頑張った」

「何も言うことはない」

 

試合後にコーチがかける言葉は、素っ気なく、言葉足らずで、保護者にとって物足りないものになりがちです。

ですが、その言葉の中には「こんなに良い試合を見させてくれてありがとう」という感謝が込められてるはずです。

マンチェスター・シティ×リヴァプールの試合を観た人々も、すべての選手や監督に感謝し、今日という日が幸運であったと思うでしょう。

 

私たちはついつい勝利にこだわりがちであり、サッカーを競技スポーツとして考えるなら、ある意味こだわらなければなりません。

しかしながら、本当に観たい試合は何かと聞かれたら、『勝つ試合』ではなく『背中が熱くなる試合』であってほしいと思います。

年に数回訪れるこの試合を観るために、私たちは日々サポートしているといっても過言ではありません。

なぜなら、その奇跡のような試合は、その後の生活を彩り、家族の大切さや子育ての楽しさを教えてくれるからです。

 

もし、まだ背中が熱くなったことがないという方がいたら、時間の許す限り試合を観に行ってみませんか。

そして自分が感動する試合に出会い、背中が熱くなった瞬間に、目の前にいる人の背中をそっと触ってみてください。

平然と静かに観ている人ほど、あなたと同じくらい熱くなっているかもしれません。

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