サッカーをやるうえで、コーチや指導者から求められるのが、ポジショニングです。
漫画”GIANT KILLING(ジャイアントキリング)”に登場する窪田晴彦は、そのポジショニングの良さからことごとくセカンドボールを拾い続け、主人公の達海猛率いるETUを苦しめます。
少年サッカーを見ていると、チャンスやピンチの時に決まって顔を出す選手がいます。
ボールを持っていない時にも、ここに居られると嫌だなと思うところに必ずポジションをとってきます。
ドリブルが上手いとか、キックが飛ぶとは、また少し異なる能力です。
グラウンドよりも高い位置に観客席がある試合会場では、ポジショニングが上手い子供とそうでない子供は、私たちでも一目で分かります。
一流の選手は、しばしば『鷹の目を持つ』と言われますが、自分の位置を遥か上空の視点から想像するというのはかなり難しいことです。
だからこそ、それができる選手というのが求められているのだと思います。
楽しく観戦できるかどうかは場所次第
少年サッカーを観戦する保護者にとっても、観戦場所のポジショニングは重要です。
長時間外で過ごすことが多いので、自分にとって快適な環境を作れるかどうかで、一日の充実度が変わってきます。
一度荷物を置いて待機場所(ベースキャンプ)を作ってしまうと、移動することはあまりありません。
また、大きい大会になると観客が増え、ベストなポジションはすぐに埋まっていきます。
コートがいくつかある場合、イスや貴重品を持って近くまで行って観戦し、終わるとベースキャンプに戻ってくるというケースもあります。
直射日光が照り付ける場所や、障害物で見えにくい場所に座ってしまうと、常にストレスを感じながら観戦することになります
1.観戦禁止区域を確かめる
試合会場によっては、グラウンドに入ってはいけない、施設内で立ち入り禁止の区域があるなど、ルールがあるので確認しましょう。
基本的には、ゴール裏やベンチ裏など、試合の妨げになる可能性がある場所を避けるというのが共通ルールです。
ただし、試合会場の大きさやチーム方針などによって異なるので、迷った場合は先輩ママやコーチに確認するのが良いと思います。
2.天候を確かめる
暑い日は校舎や木の陰になったほうが良いですし、寒い日は太陽が当たる日向が快適です。
太陽の位置は時間によって変わるので、一日を通してベストになる場所を考えるというほうが良いかもしれません。
雨が降りそうな時は、予め屋根や庇のある場所に陣取っておくと、荷物が濡れる心配がありません。
3.角度を確かめる
自分の子供のポジションを考慮して、どの角度から試合を見るのが良いかを考えます。
ビデオ撮影をしたい場合、角度が悪いと常にボールを追いかけてレンズを動かさないといけなくなります。
一般的には、自陣寄り(自チームのゴールキーパーに近い側)のほうが、子供たちの後ろから声援を掛けることができ、一緒に戦っている雰囲気を味わえます。
選手と保護者が一緒に固まるチーム、選手とは少し離れて保護者が集まるチームなど、それぞれのチームに特徴があります。
3.トイレの場所を確かめる
小さな子供がいる場合は、トイレや手洗い場が近い方が何かと便利です。
ただし、その分人通りも多くなるので、通路の邪魔にならないか確認しましょう。
チームによっては、保護者が観戦している前を通ってはいけないと教えられている子供たちもいます。
観戦場所の後ろを通路として確保しておくと、お互いにストレスがなくなるように思います。
4.周囲の観客を確かめる
夢中になって子供のチームを応援していたら、実は周りは相手チームの保護者ばかりだった…
大きい大会になると観客が試合ごとに入れ替わるので、こういった体験をすることがあります。
近くに相手チームの保護者がいると、ゴールした瞬間に喜びにくかったり、会話の内容に気を使うことが増えるかもしれません。
ビデオ撮影をしている人の近くでは、あなたの声援の入った動画が繰り返し再生される可能性があることを忘れずに。
5.子供から見えているかを確かめる
ゴールや勝利を決めた後、拳を上げて仲間と喜ぶ子供の姿を、親なら近くで見てみたいものです。
しかしながら、緊張する、気になるからと、あまり近くでプレーを見られたくないという子供もいます。
プレーしている選手から、観客席にいるパパやママの姿は、私たちが思っている以上によく見えています。
ベストショットを撮りたいなら、ゴールした瞬間にこっちに向かって手を振ってもらうよう、事前に約束しておくと良いかもしれません。
6.自分がどう見たいかを確かめる
チームメイトの保護者と一緒に応援するというのも良いですが、一人じっくりと子供たちのプレーを眺めるというのも楽しみ方のひとつです。
「あの子は背がすごく伸びているな」「足元の技術が上手くなっているな」「体がしっかりして倒されなくなったな」など、自分の子供だけでなくチームメイトの成長を実感できる時間でもあります。
また、他のチームの試合を観戦することで、各チームの特徴やコーチの指導方法、中心選手の情報など、次の対戦に向けて得られるものが沢山あります。
子供たちにとって、サッカーに詳しいパパやママはとても大きな存在です。
その日のコンディションや課題を踏まえ、試合後に良かったところ悪かったところに対してアドバイスをくれる、いわば専任トレーナーです。
強豪チームが集まる大会では、多くの専任トレーナーが温かくも厳しい目で試合を見ています。
少し離れたところから試合を見守り、「良いゲームでしたね」「強いチームでしたね」と、一言二言保護者やコーチと感想を交わす。
勝負の分かれ目となったシーンや、選手について話すことで、お互いに答え合わせをする。
「子供たちのプレーをよく見ているな」「サッカーのことを良く知っているな」と思うと、もっとサッカーやチームのことを知りたくなる。
そういった、ちょうどいい距離感で交流することも、少年サッカー観戦の楽しみ方であるように思います。