ヨーロッパ王者やアジア王者、開催国の強豪チームが対戦する大会と聞くと、皆さんはどんな大会を思い出しますか。
実はFIFAクラブワールドカップ以外にも、FCバルセロナやFCバイエルン・ミュンヘン、北米やアジア各国から勝ち上がったチームが日本で対戦する大会があります。
それが、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジです。
世界各国から強豪チームが集まって「一番強いチームはどこか」を決める、いわばU-12世代のクラブワールドカップです。
ほぼ移籍の行われていない世代であるため、それぞれのチームは地域の特色を色濃く反映しています。
「サッカーが上手くなる」「試合に勝つ」という同じ目標であっても、国や地域によってアプローチの方法が異なるということです。
ワールドチャレンジの良いところは、世界各国から集まったチームを一度に見られるところです。
同じ年代でサッカーが好きという共通項があると、日本のサッカーや子供たちがどういった特徴を持っているのかがぼんやりと見えてきます。
国内にいながら日本という国を客観的に知ることができる、これも国際大会の楽しみだと思います。
大会概要
■日程
8月29日(木) 予選リーグ1日目
8月30日(金) 予選リーグ2日目
8月31日(土) 上位トーナメント、下位トーナメント
9月1日(日) 準決勝、3位決定戦、決勝
の4日間。
■会場
2018年に引き続き大阪で開催されています。(2017年までは関東開催)
予選はOFA 万博フットボールセンター、万博記念競技場、ガンバグラウンドの3会場。
最終日のみ、ガンバ大阪のホームスタジアムであるパナソニックスタジアム吹田で行われます。
2018年は参加24チームで決勝が万博記念競技場でしたので、32チームに増えた今年は会場もグレードアップしています。
■大会方式
FCバルセロナやFCバイエルン・ミュンヘン、広州恒大など招待クラブに加え、アジア各国、Jクラブ、街クラブの予選を勝ち抜いたチームが集まっています。
そこにナイジェリア代表、タイ代表、大阪府のトレセン選抜チーム(男女各1チーム)、スポンサーである大和ハウスの選抜チームが加わります。
大和ハウス選抜チームは、全国4か所で行われたセレクションで勝ち残った選手で構成されています。
所属チームがエントリーしていなかったり、予選で負けてしまった選手にとっては大会に出場できるチャンス。
情熱とスキルさえあれば世界大会に参加できるなんて、開催国のならではの特権です。
■大会規定
U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジは、小学生になじみのある8人制ではなく11人制で行われます。
また、参加できる選手は、U-12(2007年1月1日以降生まれ)なので、5年生や早生まれの中学1年も参加することができます。
日本のU-12では8人制が主流ですが、ヨーロッパでは7人制や9人制が主流となります。
そのあたりの不公平感を無くしつつ、出場回数を増やすためにも、11人制が取られているように思います。
余談ですが、日本では4月から3月を区切りとして学年分けしますが、海外では1月だったり9月だったりします。
日本の小学校で使われている学年という概念は、飛び級や留年のある海外ではあまり通用しないのかもしれません。
参加チームや試合結果の詳細は大会HPをご覧ください
U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ大会概要(公式HPより)
U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ試合結果(公式HPより)
運営しているのはどんなところ?
U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2019は、株式会社Amazing Sports Lab Japan(アメージングスポーツラボジャパン)という会社と大阪府サッカー協会が運営しています。
Amazing Sports Lab Japanは、元々FCバルセロナのソシオ(ファンクラブ)の日本代理店としてスタートし、その後バルセロナやACミランのサッカーキャンプを開催しながら、クラブのファンを増やす事業を展開しています。
久保建英選手が海外クラブへの切符を手にしたことで、その後ヨーロッパのクラブが行うサッカーキャンプは当たり前になりました。
Amazing Sports Lab Japanは、その先駆けとなるバルサキャンプを開催した会社です。
現在は、山梨に育成型のサッカーの学校を設立するなど、新しい取り組みも行っています。
代表と務める浜田満さんが本を出されていますので、興味のある方は読んでみると良いかもしれません。
サッカービジネスという日本に馴染みのないコンテンツを手探りで広げていく話は、他のビジネスにも共通するものがあります。
久保選手のお父さんが書かれた「おれ、バルサに入る!」を読まれたことがある方なら興味深い内容かと思います。
アジアのサッカービジネスは加速している
2013年に12チームで始まった本大会は、2019年は予選136チーム、本戦参加32チームと規模が大きくなっています。
ヨーロッパの各クラブやJクラブがアジアを次なる市場と考えている様子がひしひしと伺えます。
欧州に比べると、日本や中国、タイを始めとしたアジアのサッカーはまだまだ発展途上であり、開拓されていない市場が残っているためです。
大会に参加した子供たちが大人になる時、ユニフォームに描かれていた企業名は身近な存在になっています。
チームや大会のスポンサーをすることで、アジア各国へビジネスを広げようとする企業の思惑もあるように思います。
映像技術や輸送技術の発展により、スポーツビジネスは単なる観戦という娯楽の枠を超えつつあります。
アジアやヨーロッパのサッカーファンは、『観戦や応援を含めたアクティブな観光』を新しいレジャーとして楽しんでおり、
その波はトップチームだけでなく、かたちを変えながら地域に密着したジュニア世代へも押し寄せています。
2019年はヨーロッパの人気クラブが各地で国際試合を行いました。
7月だけでも4試合が行われています。
高額なチケットを含めて完売しているところから見ても、海外サッカーを生で観たいという需要はまだまだありそうです。
日本人の海外クラブへの移籍が増加すると同時に、日本へ遠征しに来るチームも今後増えていくように思います。
■Jリーグワールドチャレンジ 2019(7/19 日産スタジアム)
川崎フロンターレ VS チェルシーFC
■EUROJAPAN CUP 2019 (7/27 日産スタジアム)
横浜F・マリノス VS マンチェスター・シティ
■Rakuten CUP 2019
FCバルセロナ VS チェルシーFC(7/23 埼玉スタジアム2002)
FCバルセロナ VS ヴィッセル神戸(7/27 ノエビアスタジアム神戸)
大会訪問のめあて
最終日の様子はスカパーで放送されるということなので、今回は各チームの素性が見える大会初日を観戦しました。
サッカーの技術だけでなく、選手の普段の様子やコーチの指導方法、見守る保護者のコミニティを実際に見てみたいと思ったからです。
常にサッカーが存在する生活は、歴史のある海外の方が経験値を持っています。
私たちができることとしては、それを単に模倣するのではなく、押さえるべきポイントを理解しながらアレンジしていくことだと考えています。
これまでの憧れであった海外サッカーは、もはや倒すべき相手へとシフトチェンジしています。
生まれて12年間で、環境がどれほど選手に影響を与えるのか、果たして今のやり方はあっているのか…
実際の大会の様子は、観戦レビュー編で紹介してみたいと思います。