「中学どこいくの?」
ジュニアサッカーでは、小学6年生になると決まって保護者の間でこの話題がでてきます。
ここで言う「どこいくの?」は、ほとんどの場合学校ではなくサッカーの話です。
保護者にとっても「中学どこいくの?」は重要で、子供の決断によっては大きく生活環境が変化します。
今回は、ジュニアサッカーをまもなく卒業する立場になって、中学からのサッカーをどうするかについて考えてみたいと思います。
子供たちが選べる選択肢には何があるのか?
- 公立中学の部活でサッカーをする
- 私立中学の部活でサッカーをする
- クラブチームでサッカーをする
- J下部クラブでサッカーをする
- サッカー以外のスポーツを始める
1.公立中学の部活でサッカーをする
公立中学の部活でサッカーをするメリットは、練習場所が近く(家・学校・練習場所の距離が近い)、移動時間が少ないことです。
また、活動時間が決まっているため、学校や塾はもちろん、テスト勉強、他の習い事の予定を組みやすくなります。
月謝がなく、活動費が道具代や交通費などの実費負担であることもメリットです。
しかしながら、校区によってはサッカー部がなかったり、専門の指導者やメンバーが足りずに弱いチームである可能性があります。
チームメイトも経験者ばかりではなく、中学から始めてサッカーをする子供もいると思っておきましょう。
また、近隣チームとの試合が中心となるため、上を目指す選手にとってはもの足りなく感じるかもしれません。
できれば、チームOBやママ友達からどんな様子なのかを聞いておくと、安心して部活サッカーをスタートできるように思います。
2.私立中学の部活でサッカーをする
サッカーが強い私立中学は知名度があるため、本格的にサッカーをしたいと思う生徒が全国から集まります。
公立中学に比べると学校設備、グラウンドなどの施設が充実しており、近隣クラブチームとの交流戦もあるので環境面では恵まれていると言えます。
私立中学の部活でサッカーをするメリットは両立がしやすいところです。
学校全体に文武両道の精神が蓄積されており、教職員や保護者も意識が高く、高いモチベーションが維持しやすいように思います。
デメリットとしては、公立中学に比べると学費や活動費がかかり、学校の場所が遠い場合は交通費や移動時間を要する点です。
体験会やプレテストに参加したり、入学試験に合格することを考えると、6年生になる頃には進路を決めておく必要があります。
そして、怪我や病気でサッカーを辞めてしまった時は、その学校に行くメリットが少なく感じるかもしれません。
3.クラブチームでサッカーをする
より厳しい環境で上を目指していくのであれば、地元のクラブチームに進む選択肢があります。
近所に住むOB・OGも、クラブチームに進路を決める選手が多いのではないかと思います。
クラブチームのメリットは、入団試験に合格した選手と専門の指導者が集まるため、質の高いサッカーが学べるところです。
もちろん、学校とグラウンドの往復やレギュラー争いなど大変なこともありますが、ジュニア時代よりも高いレベルでやりたいと思うなら最適な環境です。
月会費や遠征費、ユニフォーム代、会場費など細々とした出費があり、保護者の送り迎えも発生する場合があります。
一部の強豪チームでは入団するにあたってセレクション(入団試験)を受ける必要があります。
4.J下部クラブでサッカーをする
全国のJクラブでは、下部組織を設けているクラブがあります。
一般的にプロ養成機関と言われるもので、全国からプロサッカー選手を目指す子供たちが集まってきます。
プロが使用する練習場を使えたり、道具がクラブから支給されたり等、サッカーをするなら最高の環境と言えますが、入団するには厳しいセレクション(入団試験)を受けなければなりません。
ジュニアチームから内部昇格したり、提携チームで内定をもらっている選手もいるので、実際にはかなり狭き門になります。
サッカーの技術だけでなく「プロになる」という強い意志や、競争を楽しめるマインドがないと後々辛くなる可能性があります。
所属するチームによっては、一人暮らしをしたり、家族で移住するケースも珍しくありません。
5.サッカー以外のスポーツをする
サッカーで培った体力や技術を、他のスポーツで活かす選択肢もあります。
スタミナに自信があるなら陸上の長距離を始めてみる、脚力を活かして自転車競技をしてみる、身長を活かしてバスケットボールやバレーボールをしてみる。
団体競技ではなく、個人競技で自分の長所を伸ばしていくという方法もあります。
中学は、サッカーを楽しめる幸せな時間である
サッカーは、年を取るごとに競技人口が減っていくスポーツです。
10代をピークにして、20代30代と徐々に減っていき、40代で5%、50代以降は1%の人しか競技をしていません。
つまり、ほとんどの人が人生の前半のどこかでサッカーを辞めているということです。
実際、中学生活の中で、怪我や病気を理由にサッカーを断念していく選手がいます。
こうして考えると、サッカーを楽しめる今はとても幸せな時間なのかもしれません。
これからの3年間をどうサッカーと向き合っていくか。
卒業式から入学式までの日々は、そういった近い未来に思いを馳せる時間でもあります。
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